ラビリンスの彼方

3DダンジョンRPGかと思ったらほとんどアドベンチャーゲームだった一品。一応RPGっちゃそうかもしれないけど、
- キャラメイクとかはない。一応、主人公(?)の名前ぐらいは決められる。
- 装備品の概念がない。ダメージはチャージの段階と属性の相性、防御率でのみ変化する。
- レベル、ステータスの概念もほぼない。HPとチャージ可能な回数を経験値を割り振って増やせるのみ。
- お金の概念もない。アイテムは一部敵のドロップとダンジョンに落ちているものをやりくり。
いろいろと割り切った作りなので、やっぱり旧来のRPGを遊ぶというよりはパズル要素の強いアドベンチャーゲームみたいな心構えで遊んだ方が良さそうだ。人を選ぶゲームといったところか。
遊んでいて「なんぞこれ」と思ったところ(第4階層あたりまでの感想) †
- ダンジョンの広さに対して移動速度が遅すぎる
- どうも速度を変える方法はないようだ。またダンジョンが結構広めでセーブポイントも限られているので、実際以上に面倒に感じる。向きの変更が45度単位なのもそれに拍車をかけている。だからといって速度を上げると女の子がついてこれなくなるし、女の子がえらい速さで走ってるのも違和感があるだろうし。
- というか戦闘時のモーションから扉を開けるモーションまでもっさり
- 一応、イベント時のモーションはBボタンで早送りできる。が、早送りしてるうちにイベントが終わって視点移動になるとかわけわからん操作形態。戦闘時のモーションについては、後に出てくる盾システムとの兼ね合いもあるので一概にダメではないが、それでも序盤はただもっさりしてるだけだしなあ。
- ダンジョンが広い割にギミックが少ない
- そのうち出てくる。序盤がクソ詰まらない割に長いので嫌気がさしてくるが……。
- 敵が見えてるのにターゲットに選べない
- 戦闘中でもある程度距離が離れてしまったり、壁に体の半分以上が隠れたり、真上付近に陣取られるとターゲット選択できなくなる。上下左右の向きを変えてもダメな場合こちらが移動するしかなく、2歩以上移動すると敵に行動順がほぼ移る。ふざけんな。
- 敵から逃げられない
- 前述の通りちょっと歩いただけで敵に行動順が移る上、戦闘中は扉を開けるなどのアクションができない。つまり逃げるなんてことはできない。
- 回復手段が少ない
- そういうゲームバランスらしい。回復アイテムは特殊なものが少数手に入るだけのようなので、やはり戦闘システムを活用してHPの吸収を効率的に行うしかない。あとはヒールスポットの活用程度か。
- いくらなんでも少女の回復手段が少なすぎる
- ゲームを進めさえすれば、メンバーを少女の盾にできるのでそれを使えということなのだろう。それまでにやたら時間がかかるのだが。
- ってか少女が攻撃くらいすぎなんだよ
- 敵のAIは結構小賢しく、死にそうになると全力の攻撃を少女にぶち込むとかザラ。盾が使えるようになるまで我慢するしかなさそうで、対策らしいものはない。
- 前の階層への移動が死ぬほど面倒
- ワープポイントなどはなさげ。そのため、石版などへの移動が極めて面倒。一応ショートカットの隠し通路や橋はあるが、復活するタイプの敵が道を塞いでいることも多々ある。
- やることがまったく代わり映えしないんだが
- そういうゲーム。
- 敵のHPが増えるにつれてダルさ激増
- 少女の順番が回るまでにしっかりマジックストックを貯めて、魔法で即殺。いやそれが戦闘の代わり映えのなさとダルさを助長しているのだが。
- チャージ回数が増えても行動が遅くなるだけでは
- 一応、ダメージ効率は小出しに攻撃よりはいいようだ。あとマジックストックを一気に貯めるときに×属性のキャラでフルチャージとか。ゲームが進めば敵のフルチャージでの行動順もデカくなるので、チャージ回数を伸ばすのは十分意味がある。
- 弱点を突かれると即死級のダメージを受けるようになった
- つべこべ言わずにHPを増やした方が良いようだ。死なない程度にHPを増やしたら攻撃に振る。結局はマジックストック頼みになるので、マジックストックの威力を上げるのが重要っぽい。HPに降りすぎたと思ったら経験値リセットアイテム。
- こちらの+×属性を変えてくる敵がウザい
- 属性は石版とアイテムでしか変えられないので確かにウザい。対策といえるものはない。全員×になったりしたらアイテムで変えるとか、その程度か。後は属性がこちらの都合のいいように変わってくれるのを祈る運ゲー。
- 行動順の調整が全然上手くいかん
- チャージ数の増減や盾による行動スキップができるようになると解消される。
- ボスがあんま強くない
- 第4階層までは単なる消化試合だったが……。
- 戦闘中に間違ってスライドパッドで移動してしまって敵に順番が移ってギャース
- この仕様にOK出した奴がバカ。
- システムが揃ってくると面白くなるっちゃなるがそれまでに数時間かかる
- プレイヤーをゲームシステムに慣れさせるための配慮のようだが、どう考えても裏目というか単に面白くない期間が増えるだけ。
どうもゲームとして面白くなってくるのは盾が使えるようになってくるからのようだ。というかそれまでは少女に攻撃が当たらないように祈る運ゲー。
第4階層以降の戦闘システム †
大雑把にルールをまとめると
- 弱点を突くとダメージが「放出」される。
- 放出されたダメージは同属性のキャラの攻撃時に「吸収」される。
- 攻撃時には一定数の「行動順の数値」が加算される。
- 攻撃の威力はチャージの段階と属性相性(と敵の防御率)で計算される。
- 「行動順の数値」はチャージの段階に応じて増加する。
- 「行動順の数値」は敵味方が行動するごとに減っていき、0になったら行動可能となる。ただし「盾」のメンバーだけは0になっても行動できない。行動させたいなら盾を解除。
- 「盾」になる/解除するのは行動順の数値を増減させず、また順番が回ってきていないメンバーでもできる。
- 「盾」はプレイヤー固有のシステムであるので、敵の行動順がスキップされる事は基本的にない。
- 「盾」の効果は「盾」になったメンバー全員のHPの最大値で決まる。
- 少女の魔法の威力は少女のHPの割合に比例する。
こんなところ。要するに盾で少女を守りつつ行動順を調整し、盾のキャラを持ち回らせながらHPを回復させていくのが基本戦術となる。
例えば以下のようにキャラクターの行動順が並んでいたとする。
G=グーの味方 C=チョキの味方 P=パーの味方
g=グーの敵 c=チョキの敵 p=パーの敵
P C G p c g
この時に取れる行動の一例としては、
- P, Cを盾にする。
- Gでcを攻撃、先行入力でCを戻す。
- Cでpを攻撃、先行入力でPを戻す。
- Pでgを攻撃、Cは盾に。(Pも盾に参加させる選択肢もある。)
- 敵の攻撃のチャージ数を見つつ、盾の入れ替えの判断。
こうなる。判断に使える時間がタイトな事があるので、どちらかというとパズルゲームのような戦闘システムに思える。戦闘のモーションがもっさりしてるのは多分このためで、あまりゲーム速度が速いと盾の切り替えがシビアになりすぎるものと思われる。が、盾が使えるようになるまでの数時間はただもっさりしてるだけなのがもったいない。
この戦闘システムのルールは本当によくできていて、第3階層までのクソゲーっぷりが嘘のように面白い。盾が使えるようになるのは第4階層の前半ぐらいで第4階層クリアで11時間ぐらいだったから、盾の入手は人にもよるだろうけど7〜10時間をみておいた方がいいかもしれず、特に第3階層が妙に面倒くさい作りになっているのがいただけない。ちょっとそこで投げてクソゲー扱いされても無理はないのでは。
変化のしるし †

少女の見た目のカスタマイズ機能が解禁されるのは、ゲームが半ばを過ぎてから。攻略に役立つ機能ではないが、やはりキャラクターのデザインを自分でアレンジできるのは嬉しいものだ。
クリア後の感想 †
プレイ時間は35時間ほどだったが、なんというか悪い意味でもっと長く感じた。理由はやることがずっと変わらないからで、これは基本ルールが良く出来ていることの証拠でもあるのだが、そのルールに適合するプレイングの幅が非常に狭いので、結局延々と行動順の調整に終始する他ない。第4階層序盤で戦闘システムが揃った当初は面白くても、そこからまったくやることが代わり映えせず30時間前後の道のりはやはり長すぎる。
普通のRPGならキャラクターの成長に合わせてやれることが増えるので、徐々に「限られた選択肢をやりくり」から「豊富な選択肢からベストな組み合わせをチョイス」になっていく事で単調さを回避しているのだが、どうにもシステムがジャンルとミスマッチだったように思える。俺には30〜40時間も引っ張れるシステムには思えなかった。やっぱこれRPGとして作ってはダメだったのでは。
システムが整っている一方で、プレイヤーにはどうにもできない状況が散見されるのは頂けない。例えば敵の中にはこちらの行動順を回復ポイントに着くまで恒久的に遅らせる、+×の属性を変えてくる、三属性を変えてくるという攻撃を仕掛けてくる物がいるのだが、これに対する対抗手段はない。せいぜいアイテムで直すぐらいで、行動順の調整と盾で凌げるかというと怪しい局面が多々ある。突然敵が出てきて盾をセットする間もなく少女に攻撃が飛ぶという、初見殺し的なシーンがあるのもかなりどうかと思う。早く反応できれば盾をセットできても良かったのでは。また敵がちょこまか移動してターゲットを外れ、再度ターゲットするのに移動すると敵に行動が移るのも理不尽なだけで何一つ面白くない。
そもそもシステムが揃うまでに時間が掛かり過ぎで、戦闘システムが揃ってまともなゲームになるまで7〜10時間ぐらい、変化のしるしで見た目をカスタマイズできるようになるまで15時間ぐらい、AR機能は覚えていないが20時間前後だったと思うが、とにかく時間がかかりすぎる。特に戦闘システムが揃うまでは単なる運ゲーであまり楽しいものではないのが非常に良くない。
ダンジョンも全体的にただ無駄に歩かされてるだけの感が強く、恐らく第6階層あたりでダンジョン構成のネタが尽きたと思われる。移動速度が遅めなのは少女の移動速度に合わせたとか、ダンジョンを彷徨ってる感の演出だとか、まあ理解できなくもないのだが、それがダンジョンの広さとギミックのなさをより一層感じさせられる結果に。ダンジョンのグラフィックは良くできており、階層毎に変化するマップ及び戦闘のBGMと見事な調和を見せているだけに、ダンジョン探索自体の冗長さが残念。
楽しめた部分もあったし理屈では良くできていると感心するのだけど、それでも実際に遊んだ感想はちょっと芳しくない。非常に尖ってはいるので、そこは評価したい。結論としては相当人を選ぶゲームではあるが、誰になら勧められるかがいまいちわからない。勧められない人は明白で、多彩なキャラクターの育成を期待している人には勧められないし、重厚なストーリーを期待する人もガッカリすると思う。しかし誰に勧めればいいんだろう。頭では良さをわかってるけど心では冷めてる、そんなゲーム。
極めてどうでもいいが、ラスボスがアーケード版のジョジョの奇妙な冒険のDIOと同じ声優で、「なじむ、なじむぞ!」とか言ってくるのは一体何の冗談だ。肝心のラスボス自体は属性変化のアイテムがあればそんなに強くなく、というか全編通して一番強いボスは多分第6階層のボス。あれは倒し方がわかるまではちょっと苦労する。
更新履歴 †
- 2012-02-26
- クリアしたので感想書いた
- 2012-02-13
- 変化のしるしについて、その他にもちょっと記述
- 2012-01-30
- 戦闘システムについていろいろ
- 2012-01-28
- 「なんぞこれ」に追記修正
- 2012-01-25
- 公開