キュービックニンジャ

エンディングまでたどり着いたので、感想を。結論から書くと、かなり良いゲームだ。

公式*1の説明で「傾ける。以上。」と簡潔過ぎてもはや禅の境地に達した感のある操作方法は、それだけ聞くと「コロコロカービィとかあったよなあ」と言いたくなるのだが、奥行きの概念を足してしまった結果として「3DSを頭上に掲げてロジャー・ダルトリーかイギー・ポップかといったエビ反りをしつつプレイ」という、それこそ尋常でないまさにニンジャなプレイスタイルが生まれることになった。試しにプレイしているところを妹に見せたところ、腹を抱えて笑っていたので相当破壊力のある絵面だったのだろう。

流石にそれでは外出先で遊べないだろうし、また体を痛めているとキツいのだが、一応プレイ中にいつでもオプションでマナーモードと称するスライドパッド操作に切り替え可能な親切設計だ。もっともマナーモードでは画面の奥/手前移動がXボタンに割り当てられていることが説明書に書かれていないとか、マナーモードでのみ3D表示可能な事も書かれてないとか、そもそも公式サイトでマナーモードについて何一つ触れられていないとか、公式がニンジャなのはちとどうかと思うが。*2

全5エリア×20ステージ+αとボリュームはあるのだが、一つ一つのステージは短いものは10秒程度でクリア可能と切り詰めた内容になっているので、冗長な印象は皆無。基本的に初見殺しが激しい死んで覚えろな硬派な難度なのだが、その殺し方が「トラップの間をくぐる繊細さが問われる」「思いっきり加速したくなるような先にトラップ」「スイッチ操作が遅れたらプレスされて死ぬ」「敵キャラの軌道で殺す」「爆弾が自キャラ同様に転がる」「バンパーでパニクらせる」などを組み合わせた豊かなバリエーションを見せ、時折「死ぬようなトラップはないがスイッチ操作が忙しい」などのパズルをじっくり解かせるステージや、それほど難度の高くないステージを挟んで緩急を付けているのもポイント高い。ミスしてリトライする時に3〜4秒ぐらいのロードが入るのが残念っちゃ残念か。ロード中もBGMを止めないなど、テンポを悪く感じさせない工夫はされてるんだけどな。

序盤のエリア1あたりはともかく中盤以降は全体的に難度が高めな一方、四つの忍術が割とクリアできない人への救済要素になっている。キャラが小さくなってトラップに引っかかりにくくなる縮身の術、活用方法がさっぱりわからんままクリアした分身の術、ボス戦で決戦兵器となる八方手裏剣の術(グラフィックが四方手裏剣だとか突っ込んじゃダメだ)、ダメージを複数回回避という反則性能な結界の術と、効果にバラツキがあるものの概ね使うと有利になるというかなりすぎるので、キツいステージはこれらを使って抜ければだいぶ難度は下がると思う。

巻物の入手数が読めないので使いどころが難しそうだが、クリアしてから振り返ってみると、あまり気にせず使っても良かったようだ。というのも、どうも同じステージでミスを繰り返すとタッチパネルの巻物アイコンをタッチして無限に巻物入手可能(=忍術使い放題)になるようで、これはクリアできない人への救済策*3としてはアリだろう。しかしこれらの忍術の説明が公式サイトにも説明書にもなく、また巻物無限入手も説明されていないなど、ここでも公式がニンジャになってるのは本当にどうかと思う。

キャラクターは最初はカーボン製ニンジャのCCしか使えないが、ステージをクリアしていく事に使えるキャラは増えていく。といっても俺はひとまず全部CCでクリアしたんだがな。キャラクターの個性は大きさ、重さ、摩擦、反発で付けられており、壁などに当たるとものすげえ弾むキャラやえらいこと滑るキャラなどといった塩梅。そしてそれぞれ別の素材のニンジャという設定なのがまた芸が細かい。キャラクターの挙動も、よくよくみると表情を変えたり手足をバタつかせたり、壁に当たるとアレな呻き声を出したりと妙に可愛く、ボスに食われてキューブ状のウンコになって排泄された時にはスタッフは本当にバカだと思った(褒めてます)。

ステージエディットで作ったデータを公開する方法がQRコードというのはいい発想だと思う。ただし、SDカードにQRコードを保存みたいな機能は無いので、公開するなら別途デジカメや携帯電話のカメラで撮影が必要。すれ違い通信でもステージを配布できるようだが、こちらはなぜかフレンド登録してないとデータの受け渡しができないという謎のニンジャ仕様。どんだけニンジャなんだ、このゲームのスタッフは。

ゲームの発想がバカ、それを具現化したスタッフは当然バカ、よりによってそれをやるプレイヤーもバカと三拍子揃ってるバカゲーなのだが*4、一方でやたらスタイリッシュにまとまったユーザーインターフェースやBGMなどが単なるバカで終わらないセンスを見せつけるのも、真面目にとんでもない事をやってるようで好印象。やっぱこういうネタをプレイヤーに伝えるには相応のセンスとスキルが必要だよな。

ゲームの遊び方がアミューズメントパークの説明っぽくなっていたり、エディットモードの説明が「施行業者様へ」で始まる業者向けの案内っぽくなっていたり、果てはスタッフロールでも意外な芸の細かさを見せつける始末で、「そこは普通に作れよ!」と突っ込みたくなるところまで独自のセンスで貫く姿勢はまさに己が使命に殉ずるニンジャそのもの。説明書の不備や意味不明な宣伝など商品としてはかなりどうかと思うが、アイディアとコンセプトの具現化にこだわった作品としては満点。スタッフの愛を感じる。

ぶっちゃけこのゲームはネタで買ったんだが、なかなかどうして意欲的で面白い逸品で、終わってみたらファンになってた。

脚注 

*1:「あらすじ」の締めの文章が「入り口は、トイレである。」の時点でもう狙っているのがわかる。そしてその狙いを外していないのは凄い。

*2:2011-04-09に公式サイトでマナーモードや忍術の説明が掲載された。

*3:特にラスボスはかなりの難度。それ以外にも難所はあり、実際俺は一部のトラップをくぐりまくるステージは縮身の術で切り抜けた。

*4:ここでのバカはawesomeとかの褒め言葉。

更新履歴 

2012-03-17
雑記のリニューアルついでにちょいと手直し
2011-04-14
ちょっと追記
2011-04-09
公開