2017-05

2017-05-09 

先日職場の同じチームのメンバーから「作曲ってどうやってやってるんだ?」と聞かれたので、少しだけ作曲方法について書く。

今のところ俺のやってる音楽はデスメタル/デス・ドゥームなので、普通の音楽理論は概ね役に立たない。というのもこれらの音楽は1曲通してコンビネーションオブディミニッシュスケール(通称コンディミ)で弾き通す事が多いのだが、このスケールは例えばジャズなどでドミナント上で使われるスケールで、ましてやポップスや普通のロックで1曲通して使うような代物ではない。これは暗にケーデンスなどのコード進行の手法が概ね使えない事も意味しているので、デスメタルを書こうと思ったらそういった知識はひとまず窓から投げ捨ててよい。(メロディックデスメタルなどは案外そうでもないが、俺のやってる音楽ではないので除外。)もっともコンディミを使わない場合でもあまり音楽理論的にどうこうというのは気にせずに曲を書いているが、分析したら既存の理論で説明付くかもしれない。が、それはまあ置いておく。

大体の場合において、俺は曲を書くというよりもまずはギターを適当に弾いてリフを作る所から始まる。ここは別に体系化されたプロセスではないが、概ね以下のようなパターンをベースに適当にやってる内に何かしらできる。

  1. 16分or3連符のトレモロピッキング
  2. 符点8分音符を絡めたスタッカート
  3. パワーコードなどのダブルストップ連打
  4. 8分中心の単音フレーズ

リフとしてまとまったあたりでダメだと思ったら即座にボツ、使えそうだったらtuxguitarに打ち込んでおく。この時点では曲の体を成していないが、あまりそれは気にしない。大体の場合は8小節のフレーズを打ち込んだらその時点で一旦寝かせておくが、たまに続きのフレーズが思い浮かんでくるのでそのまま完成させることもある。

曲として完成させるにはここからフレーズを発展させていく必要があるが、このプロセスは一定の手法に従って一旦は進める。例えばリフの後半が上昇系フレーズだった場合は下降系フレーズに置き換えた奴を付けて小節数を倍にしてみる、4小節×4で纏めようと思ったら3小節めに変化を持たせる、ギターとベースのリフは変化させずにドラムのフィルインで曲を進行させるなど。案外この程度で深く考えずに作ってもそれなりにはなるし、それが最終版の譜面になることもある。(レコーディング始めてからに変わることも多々あるがまあそれはそれ。)

このようにして最初のリフのパートを完成させたら、次のパートに移る。ここは先のリフが刻み系だったらダブルストップ系にする、スタッカート系の次は刻み系にするなど、前のパートを受けて別のタイプのリフを使うことが多い。同系統のリフを使う場合はフレーズ自体の印象が変わるようにする。ここまでのプロセスをサイクルで回して曲ができる感じだ。ちなみにギターソロやリードギターのメロディはバッキングに合わせて適当に弾いて、良かった奴を譜面に起こすという形で書いている。この時も気に入ったフレーズが出来た時点で残りの部分は書きソロの形で書いてしまうので、例えばインプロヴァイズで弾き切る事は殆どしない。

またアルバムを作る場合は4曲ぐらい書いた時点でアルバムの全体像を考える。 Lycanthropeはドゥームの要素のあるデスメタルといったところなので、 10曲入りのアルバムの場合、BPM170以上のスピードナンバーが4曲ぐらい、スローでドゥーミーな曲も同じぐらい、中間のテンポの曲が2曲とか、そういう構成を考える。

また曲のテンポ以外のバリエーションという点も考えておき、速い曲も"World to End"のようなスウェディッシュデスメタル系、 "Despoiler of Souls"のような幾分グラインド色のあるもの、 "Angel's Bane"のようにスタッカートリフで押すタイプなど、似たようなBPMでも印象が異なるように曲のタイプを多少は散らしておく。またこの時曲のキーやスケールもある程度分散させる。

ちなみに2ndアルバム"Boundaries of Blood"は以下のような構成になっている。

タイトルBPMメインのスケール備考
World to End200Dコンディミ/Dフリジアンスウェディッシュデス系、ソロのみフリジアン
Sea of Grief104Aドリアンパワーコード刻み+白玉バッキング+ほぼ全編リードギター
Bloodshed156Bコンディミ単音フレーズ→ドゥームリフ→刻み系
Deranged200Aコンディミ/Aドリアン刻み系→ゴシック・ドゥーム系フレーズ
Stab Wound70〜124クロマチック/Aコンディミドゥーム→刻み+パワーコード
Under Rotting Sky56Bロクリアン単音フレーズ主体、ツインハモリあり
Grim Messiah164Dコンディミ8分刻み→単音フレーズ→パワーコード連打
A Thousand Sacrifices174Cコンディミパワーコード+16分刻み、3/4拍子と6/4拍子に変化
Despoiler of Souls225Eコンディミスタッカート→16分刻み
I am the Shade76Bロクリアンパワーコード系リフ、ソロはEマイナーペンタとEフリジアン(Bロクリアンの平行調)

アルバム制作の途中からは、割かしパズルを解くような心持ちで曲を書いている。今のところ一番評判の良い"World to End"なんかは「アルバムの1曲目」「高速ナンバー」「高速ナンバー中最もメロディアス」みたいな制約ありきで書いた面が結構あり、案外こうして自分に制約を課して作った方が俺の場合は良い結果になりやすいようだ。