2011-05

2011-05-07 

時々「層・圏・トポス」に手を出す人を見かけるけど、大学で数学を専門にやってたとかそういうバックボーンないとマゾいよ。記述が簡潔過ぎることが多く、また結構な頻度で「これは自明だから省略」などと出てきて、それが「いや竹内外史にとっては自明な事が我々凡人に自明とはいえないだろう」としか言いようのない代物だったりする。というわけで、途中で体力的な問題で脱落したとはいえ、俺が読み進められた最大の理由は読書会に参加して、他のもっと優秀な人らとディスカッションしたりレクチャー受けたからだった。

ちなみに「圏論の基礎」はさらにガチ数学者向けの本で、基礎は基礎でも既にバックボーンのある人向けの基礎だ。もう何度同じ事を書いたか分からないが、間違ってもそうでない人間が最初に手を出すものではない。

“Conceptual Mathematics”は、やはり時間的及び体力的な問題で読書会には参加してないのだが、一応これは個人的に読み進めてる。まだ最初の方だが、洋書であるという点が致命的な問題にならないのであれば結構いいかもしれない。

「圏論による論理学」は圏の記述は割と親切で「層・圏・トポス」との併用で有用な事もあったが、主題である論理学の部分が俺の理解できる範囲を大幅に越えるので総合的な評価は無理。

2011-05-08 

義憤にかられた第三者がろくでもない事をしでかすというのは腐るほど見つづけてきた光景で、やはり人間の欲望には「できるだけ楽に正義の側に立ちたい」というものが存在すると思わざるを得ない。「できるだけ楽に」がポイントで、だから千羽鶴とか折る奴が出てきたり、いわゆる炎上が起こったりするし、チェーンメールとかがなくならないわけだな。

この問題のエレガントな解決方法を考え出せたらノーベル平和賞とか与えてもいいと思う。それぐらい、正義の側に立ちたいというのは強烈で厄介な問題で、俺だって抗えないことがある。

2011-05-10 

新人が使えない理由は例えばこういうものがある。

要するにかなりのケースにおいて必要な人材を採用できなかったか、新人を上手く扱えない連中が「何だあいつは」と言ってるだけだろうから、「新人プログラマーが使えない理由」ではなく「採用戦略がクソな理由」とすべきであろう。また、たとえ経験者であってもそれまでとは大きく性質の異なるプロジェクトに配属すればそれはほぼ新人といってよく、相応のイニシャルコストがかかるという事実も無視すべきではない。果たしてその「使えない」は、イニシャルコストを払い終わった後の事なのか。

応募者に「業績を示せ」というのは比較的いいアイディアだが、その「業績」を適切に評価できる人間がいるのかという大きな問題を孕んでいる。いや正直に書いてしまおう、相手の業績を正しく評価できる──即ちどのようなスキルの持ち主を求めているか明示でき、相手の成果を評価できる──企業とそうでない企業の間には大きな溝があり、そして世の中には後者の企業が溢れており、それらの企業はSIerの多重下請け構造などで重要だが悲惨な役割を演じている。勿論そういった企業には行くべきではないのだが、一方で誰かが行かねばならなず、そういった企業に行ってしまう人達を単に間抜け呼ばわりするのは気が引ける。

本題からずれそうなので元に戻そう。

また世の中にはニッチな、あるいは先鋭化したスキルの必要な仕事があり、それらのスキルの持ち主を探すのはそれほど容易な事ではない。そのため、そういったスキルを学べるだけの知性や知識の持ち主を採用するという一種の賭けをせざるを得ない事があり、そのような場合「コンピューターサイエンス理論」などの基礎を修めた人物を採るのは仕方のないこともあるだろう。

繰り返すが、採用の際に相手の業績を見ることは悪いことではないだろう。が、それは自分たちがどのようなスキルを求めているか明白であり、かつ相手のスキルを評価でき、そのようなスキルの持ち主が確実に市場にいる事が条件ではないのか。そのような条件下で相手の業績を見ずに採用するのは大抵は哀れな企業なだけであるが、ニッチであったり、企業の活動分野を広げるための採用であったり、あるいは個人でわかりやすい業績を残すのが困難な分野においては採用における賭けの要素がより強くなる。


本題とは関係ないが、チャールズ・シモニーをたった一段落、というか二文で切り捨てるとは良い度胸だ。俺は彼の考案したハンガリアン記法は使うべきでないと考えるが、これはまたそのうち書く。少なくとも、「この分野で広く普及したものの中で史上最悪のアイディアだ」とだけ書いて済ませられるような代物ではない。

2011-05-18 

仕事にかまけて応募するのを忘れていたが、ロックマンDASH3の開発室リアルミーティングが延期になっていた。このタイミングでの発表ってことは、3DS本体の更新の延期の影響もあんのかねえ。DASH3開発チームの異様なまでの背水の陣っぷりがわかっているだけに、こういう情報一個一個が心臓に悪い。


Catyの型システムの背景理論について、いろいろと檜山さんよりレクチャーを受けてはいるのだが、まだここにまとめられる状態にはなってない。いやそれ以前に「層・圏・トポス」の第1章の復習をしてる最中というか。他にもやらねばならんことが結構ある。

2011-05-20 

プログラミング言語の速度とアプリケーションの速度の関係なんぞ、「作り手による」「作るものによる」「動かす環境による」などとしか言いようがないと思うのだが。一体何を作ろうとしているのか、それの複雑さは如何ほどか、複雑さは何に起因するのか、ボトルネックはどこにあるのか、どの程度の腕前の持ち主が作るのか、といった諸条件に対する回答の構成要素の一つに「どのプログラミング言語で作るかの決定」があるのであり、「言語Xで作ったから速い/遅い/いや実は関係ない」という議論は自転車置き場の議論に過ぎず、要するに時間の無駄。

そうして無駄にする時間があるのであれば、俺の仕事を手伝ってくれ。とても有意義な時間が過ごせるはずだ。

2011-05-24 

サユリ (2)

やっぱり押切蓮介すごい。これ多分他の大抵の漫画家なら思いついてもブレーキ踏むよ。もっと普通に良い話にしようとするよ。いやこれも良い話っちゃ良い話なんだけど、それは「活きの良い」話という意味でな。そしてだからこそ生まれる、プリミティブな迫力とカタルシス。これはもう芸風とかじゃなくて道だね道。押切風とか押切流じゃなくて押切道。